2023年2月14日に内閣府に設置されている独立した第三者機関の消費者委員会において
「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ」で「チャット機能を利用した勧誘を伴う通信販売」について有識者から新たな規制を導入すべきという意見が出されました。
従来、通信販売規制は既に特定商取引法の対象で定められていますがその条文の中には
「チャット」の規制は盛り込まれていません。
今回の意見はチャット機能を利用した消費者問題の現状と
法規制の方向性について意見が述べられた形となっています。
通販事業者の中にはチャット機能を活用した企業様も多く存在しているかと思いますが
今後の流れによっては注視しておかなければいけない内容となっているため
本記事は「通販のチャット勧誘規制」についてのお話です。
目次
述べられた具体的な内容とは
有識者から出された意見の詳細は下記となります。
「チャットによる通信販売の勧誘は、電話勧誘との類似性がみられることなどから、通販事業者を対象に、規制事項を検討すべき。販売事業者だけでなく、勧誘を行う第三者を対象とするかも検討する必要がある」
「これまでの通信販売の規制は、あくまで販売事業者が受動的に販売することを想定して作られたものだ。チャット機能を利用して、能動的に販売している場合は、電話勧誘販売などと同等の規制を設けるべき」
チャットと言われると何処までの範囲かと悩みますがSNSのメッセージについても言及があり
SNSのメッセージは「短文で複数回やり取りを行う」「プッシュ通知や既読機能により返信を迫られる」特徴があるため電話勧誘販売との類似性が見られるという意見です。
問題点として従来の通販では注文を受ける形の受動的に販売ではなく、
能動的に販売されていることが問題視されています。
チャットという1対1での「密室性」や「匿名性」についても
チャット勧誘の問題点として取り上げられました。
SNSには不特定多数に見えるメッセージと特定の相手に対して送るメッセージの2種類が存在しており
特別な規制を設けるのは特定の相手に送るメッセージ
つまりDM部分に対してと有識者は提案しています。
ただし質問やアンケートを設定して回答した消費者に対して
個別でチャットのやり取りする事も規制の対象に含まれるべきとしています。
基本的な事としてチャット機能を利用する通販事業者は
①販売事業者等の名称
②連絡先
③勧誘者の氏名
④商品・役務の種類
⑤勧誘する目的
以上の5点を明示することを義務付ける必要性を訴えています。
販売事業者だけではなく、勧誘を行う第三者も規制に入る可能性がある
不意打ち性と時間軸問題
不意打ち性が規制対象とすべき意見
従来のように消費者からの問い合わせや商品販売の意思表示をしている場合は
該当しないとしつつ「商品販売や役務提供の目的を告げずにチャットのやり取りを開始させた場合」を対象としています。
時間軸の問題
景品表示法や薬機法では【現在の表示のあり方】については規制が存在していますが
チャットでは日々継続したやり取りがなされているため危険性が含んでいると意見が出ています。
目的を告げない事が一番危ないポイントに
まとめ
今回は消費者委員会において話された段階の為、現時点ではまだ法規制がされるかは不透明です。
なぜこの様な議題が上がっているかは実際にチャット機能を利用して消費者を騙す悪徳業者が存在しているからに他なりません。
真っ当な商売をしている事業者ではそこまで神経質になる問題では無いかもしれません。
通常であれば義務付けが必要とされた5点についても既に行っているはずです。
この規制で狙っているのはSNS上でDMを送ってきて、目的を告げずに怪しい話を持ちかけてくるような変な事業者を規制することが目的と考えられます。
ただし今回の話はまだ意見段階、今後進められていく毎に詳しい内容が固まり、いずれかは法整備がされる可能性もあります。その段階になったら現時点での内容とは異なっている可能性も十分にあるためチャット機能を活用している通販事業者は定期的に情報を集めることが大切と考えられます。