電話受注の際の「アップセル」「クロスセル」が規制へ

先月末に消費者庁から特定商取引法施行令の改正案が発表されました。
改正案は電話受注を行う通販の「アップセル」「クロスセル」の販売手法を規制する内容です。

従来通販事業者が電話で勧誘を行い、申込みを受ける取引は「電話勧誘販売」と分類され
特定商取引法の規制対象となっていますが今回はその規制が更に強まる改正案となっています。

今回は通販事業社は絶対に知っておくべき特定商取引法施行令の改正のお話です。

目次

改正案の内容

現行の特定商取引法で電話勧誘販売に該当する消費者から「電話をかけさせる方法」については
限定していましたが今回の改正案でその範囲が拡大することが盛り込まれています。

「電話をかけさせる方法」を定めた特定商取引法施行令第2条第1号

「電話、郵便、信書便、電報、ファクシミリ装置を用いて送信する方法若しくは電磁的方法により、又はビラ若しくはパンフレットを配布して、当該売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに電話をかけることを要請すること。」

上記の中に
「又は広告を新聞、雑誌その他の刊行物に掲載し、若しくはラジオ放送、テレビジョン放送若しくはウェブページ等(インターネットを利用した情報の閲覧の用に供される電磁的記録で主務省令で定めるもの又はその集合物をいう。第十九条において同じ。)を利用して」
上記の文言が追加される内容となっています。

新聞 雑誌 ラジオ TV WEBの広告で受ける受注電話も含まれるように

改正でどうなるのか

改正案では電話勧誘販売に該当する行為が拡大することとなり
電話受注を受ける広告に掲載していない商品を進めてしまうと規制に引っかかるようになります。
その為電話勧誘内で「アップセル」や「クロスセル」を行うとその商品はクーリングオフ制度の
対象となり事業者側は制約を受けるようになります。

簡単に言ってしまえば事前に広告で掲載した商品以外もクーリングオフ対象となります。

クーリングオフ制度の対象となる制約を受けることになる

そもそも「アップセル」「クロスセル」とは

営業を経験したことのある人は聞いたことがあるかもしれませんが
一般的な言葉としては意外と知られていない営業手法の「アップセル」「クロスセル」
これがどの様なものかをご説明します。

アップセル

顧客の単価を向上させる手法で現在検討中の商品や以前購入した顧客に対して
より高額な上位モデルへ乗り換えてもらう事を指します。
無料会員から有料会員へ、1万円の定期購入から2万円の定期購入など
この様な変更をしてもらうことが「アップセル」と呼ばれています。

クロスセル

顧客が検討している商品に対して別の商品やセットなどを購入してもらう事を指します。
車を購入する消費者に対してカーナビなどのオプション品を進めたり、PC購入者にインターネット回線をセット販売するなどこの様な手法が「クロスセル」と呼ばれています。

従来からある営業手法の一つ

改正案に対する意見の募集

今回の改正案はまだ発表段階で消費者庁は意見公募を募っている最中です。
もし改正について意見がある場合は提出することも可能となっています。

意見提出先
「特定商取引に関する法律施行令及び預託等取引に関する法律施行令の一部を改正する政令(案)」等に関する意見募集について

受付締め切りは2022年12月29日17時40分までとなっていますのでご注意ください。

改正案について意見提出が可能

まとめ

今回発表された改正案は電話勧誘販売に該当する行為が拡大して
従来セールス内で行われていた「アップセル」「クロスセル」で購入してもらった商品も
クーリングオフ対象になる内容となっています。

改正案が採用された場合、通販事業社は広告に掲載している商品以外を進めても
クーリングオフで返品する可能性があるためそれに伴う準備や規約の見直しが求められるようになるため事前に準備しておかないとトラブルに発展しやすくなります。

改正案はまだ発表されたばかりで全ての内容が改正されるかはまだ未定ではありますが
そのまま採用される場合もあるため事前に情報収集を行い法改正に備えておくことで
スムーズに対応できるように備えておきましょう。

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