よく販売後のトラブルで返品を申し込んで「できる・できない」で
トラブルに発展する事例はとても多いです。
その中で消費者側がよく使われる「クーリングオフをしたい」
クーリングオフは適用される法律の規定で強行規定に分類される
強い力をもった法律ですが何に適応できて、何が駄目なのか
消費者はもちろん、販売側である企業側もクーリングオフについて
理解をしておかないと泥沼のトラブルに陥りやすいです。
今回はクーリングオフをテーマにしたお話です。
目次
クーリングオフとは
クーリングオフは一度契約の締結をした場合でも一定期間であれば無条件で契約の申込みを撤回したり、契約を解除できる制度です。
関連する法律は特定商取引法で消費者が不利益な契約を迫られて契約した際でも取り消せるように強行規定として定められています。
但しクーリングオフは全ての取引に関して適用されるわけではなく
①一部の取引方法のみにしか適用されない
②クーリングオフ可能期間が定められている
③事業者に関わる取引は適応外
などの点に注意が必要です。
契約破棄できるが無条件で行使できるわけではない
適応される取引の種類と期間
特定商取引法でクーリングオフが認められている取引は6つあり
①訪問販売
②電話勧誘販売
③特定継続的役務提供
④訪問購入
⑤連鎖販売取引
⑥業務提供勧引販売取引
以上が法律でクーリングオフが認められている取引となります。
①~④は8日間、⑤⑥は20日間の期間が定められています。
クーリングオフ期間の起算日は申込書面または契約書面のいずれか早いほうを受け取った日からとなります。
ただし書面の内容に不備がある場合は所定の期間を過ぎていても
クーリングオフが適用できる場合があります。
例として訪問販売事業者側が契約書に法律で定められた内容を
記載されていない契約書面(法定書面)を受け取った場合は
そもそも定められている書面を受け取っていないと同じなので
起算日は開始されていないパターンです。
訪問販売
訪問販売は自宅に訪れられて商品購入をする場合
また街中で声を掛けられるキャッチセールスや
プレゼント当選を謳って別の場所に呼び出し契約をさせる
アポイントメントセールスなども含まれます。
電話勧誘販売
事業者が電話で勧誘して申込みを受ける取引
電話を切った後、消費者が郵便や電話などで申し込みを行う場合も
電話勧誘販売に該当します。
特定継続的役務提供
役務はサービスの事を指しており特定継続的役務提供は
定められた業種が継続して行うサービス提供を意味します。
①エステ関連
②美容医療
③語学教室
④家庭教師
⑤学習塾
⑥PC教室
⑦結婚相手紹介サービス
訪問購入
事業者が消費者の自宅などに訪ねて商品の買い取りを行う取引
貴金属の買い取りなどが該当します。
訪問購入で売却した場合に覚えておきたいポイントは
クーリングオフを申し込んで「対象物が既に売却した」の理由で
拒んでもはねのける事が可能です。
特定商取引法の第58条の11の部分に第三者へ通知関係の記載があります。
クーリングオフ期間中に事業者が第三者へ売却する場合は
買い取りした消費者には売却する情報を通知する義務があり
購入した第三者にはクーリングオフがされる可能性を伝える義務があります。
連鎖販売取引
個人を販売員として勧誘して更にその個人が次の販売員を勧誘させる取引でいわゆるマルチ商法やネズミ講が該当します。
注意しなければいけないのはネット通販で購入の場合は
クーリングオフが適用されない可能性が高いです。
ネット購入の場合は基本的にクーリングオフの適応外になりますが
詐欺の疑いがある場合はそちらの方面で取り返せる可能性もあるため専門家に相談するのがおすすめです。
業務提供誘引販売取引
仕事を提供して収入を得られるとの理由で消費者を誘引して
仕事に必要であるとして商品等を購入させる取引
ここに該当する業者は基本的に悪質な場合が多いのが特徴で
詐欺まがいの可能性も高い点に注意が必要です。
注意が必要なのは業務上必要なものを労働者に負担させる事は
「労働契約内容に明記している」限り違法ではありません。
雇用契約時に明示して就業規則にも記載している事が条件ですが
満たしていれば負担させる事は違法では無い点は覚えておくと良いです。
該当する取引を行う場合は必ず契約関係を確認
クーリングオフが不可能ケース
クーリングオフはあくまで決められた取引を前提にしているので
該当しない取引ではクーリングオフは使えません。
①期間が経過した場合
②個人の取引ではない場合(事業者の取引は不可)
③通信販売(EC通販など)
④店舗や事業者を呼び寄せた場合
⑤政令指定消耗品を開封・使用した場合(使用分のみ)
⑥商品・サービスが3000円未満の場合
⑦自動車
期間が経過した場合
予め特定商取引法に定められているクーリングオフの期間を経過した場合はできなくなるため注意が必要です。
クーリングオフの意思表示はトラブルになりやすく、事業者への
意思表示が記録に残るようにするべきです。
内容証明郵便による書面送付や簡易書留などで日付が分かる形が安全です。
個人の取引ではない場合
特定商取引法は消費者を守るための法律なので
事業者同士の契約いわゆるBtoBではクーリングオフはありません。
もし契約に誤認させる書き方や詐称などがあった場合は
民法などによる他法律でのトラブル解決が必要となります。
通信販売の場合
通信販売は購入者が「自ら積極的に購入申込みを行う」ので
クーリングオフを設ける必要がないと考えられている為です。
もし取引契約に返品不可の特約を定めていない場合は引き渡しから8日間は契約解除が可能となっています。
ただし返品不可の特約を定めている場合は認められません。
店舗や事業者を呼び寄せた場合
通信販売と同じく自ら店舗や呼び寄せている為
積極的な購入申し込みを行うと認められるので
クーリングオフの対象外となります。
ただしクーリングオフの対象取引である
特定継続的役務提供や連鎖販売取引の場合は自ら店舗や事業所で契約をした場合もクーリングオフが認められます。
政令指定消耗品を開封・使用した場合(使用分のみ)
・健康食品
・不織布および幅が13センチメートル以上の織物
・コンドーム及び生理用品
・防虫剤、殺虫剤、防臭剤及び脱臭剤(医薬品を除く)
・化粧品、毛髪用剤およびせっけん(医薬品を除く)、浴用剤、合成洗剤、洗浄剤、つや出し剤、ワックス、靴クリーム、歯ブラシ
・履物
・壁紙
・医薬品
ただし事業者が該当商品を消費者に使用・消費させた場合は
クーリングオフが認められます。
商品・サービスが3000円未満の場合
特定商取引法第26条第5項第3項で定められており
商品やサービスをもらっており、かつ3000円未満の代金を支払った場合はクーリングオフの対象外となります。
金額が少額であるため消費者を保護する必要性が低いためです。
自動車の場合
自動車を購入の場合は特定商取引法第26条第4項第1号に定められている「相当の期間にわたり行われることが通常の取引の態様である商品」に該当します。
購入までは時間をかけて行われるため購入者側に熟慮の機会が設けられていると判断されるためです。
事前に買う商品・サービスの契約領域を確認する
まとめ
クーリングオフは消費者を不当な取引から保護するために作られている法律で予め該当する取引やクーリングオフが適用できる期間も定められています。
クーリングオフを申し込む際は期限が争いの争点になりやすいため
事前に送付日が分かるような形式で送ることで未然に防止することが可能となっています。
クーリングオフが適用されないケースも多いため事前に自分が購入する商品・サービスはクーリングオフが適用される物なのか
情報を確認しておくことがトラブルに遭わない為の防衛手段にもなるため知識を蓄えておくと良いでしょう。