D2C事業者は要チェック!特定商取引法の改正のお話

昨年2021年6月9日に改正する法律が成立して
同月16日に公布された特定商取引法等

D2C事業者に大きく関わる特定商取引法等の改正された法律の一部が
今年2022年6月1日より施行されます。

今回は知らないでは済まされない特定商取引法等の改正のお話

目次

特定商取引法等とは?

特定商取引法等の正式名称は特定商取引に関する法律
以後特定商取引法等という。

この法律は、特定商取引(訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売に係る取引、連鎖販売取引、特定継続的役務提供に係る取引、業務提供誘引販売取引並びに訪問購入に係る取引をいう。以下同じ。)を公正にし、及び購入者等が受けることのある損害の防止を図ることにより、購入者等の利益を保護し、あわせて商品等の流通及び役務の提供を適正かつ円滑にし、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。(原文まま)

つまり消費者と事業者の間で取り交わされた契約で
消費者が悪徳商法などの被害に遭いやすい取引類型を対象に
規制を定め消費者を保護することを目的とした法律です。

消費者を守るために定められた法律

該当する取引類型

訪問販売

事業者が消費者の自宅に訪問して、商品や権利の販売又は
役務の提供を行う契約をする取引の事。
 キャッチセールス、アポイントメントセールスを含みます。

通信販売

等で広告し、郵便、電話等の通信手段により申込みを受ける
取引のこと。 「電話勧誘販売」に該当するものを除きます。

電話勧誘販売

事業者が電話で勧誘を行い、申込みを受ける取引のこと。
 電話をいったん切った後、消費者が郵便や電話等によって
申込みを行う場合にも該当します。

連鎖販売取引

個人を販売員として勧誘し、更にその個人に次の販売員の勧誘を
させるかたちで、販売組織を連鎖的に拡大して行う
商品・役務の取引のこと。

特定継続的役務提供

長期・継続的な役務の提供と、これに対する高額の
対価を約する取引のこと。 現在、エステティックサロン、語学教室など7つの役務が対象とされています。

業務提供誘引販売取引

「仕事を提供するので収入が得られる」という口実で
消費者を誘引し、仕事に必要であるとして、商品等を売って金銭負担を負わせる取引のこと。

訪問購入

事業者が消費者の自宅等を訪問して
物品の購入を行う取引のこと。

7つの取引類型に当てはまる場合は注意が必要

通販事業者のチェックポイント

今回の改正は詐欺的な定期購入商法を防ぐことを念頭にありますが
改正特定商取引法の規制対象は定期購入契約はもちろん
単発の売買契約も対象に含まれる事がポイントです。

今までよくある方法で初回お試しのような単発で販売する場合でも
特定商取引法に該当してしまうと違法となってしまいます。

広告表示義務に申込み期間の定めが追加(第11条)

「申込期間の定め」とは一定期間をすぎると商品購入自体が
できなくなる場合を指しており、一定期間だけの値引きなどは該当しません。

曖昧な言い方で消費者に錯誤を与えてしまう事がダメになります。
「今だけ!」「今回限り!」など申込期間の詳細を明記しないことはNGとなります。

最終画面での項目記載義務の追加(第12条の6)

最終画面とは消費者が画面内に設けられている申込みボタンなどを
クリックすることで契約申し込みが完了となる画面を指します。
①分量の明記(数量 回数 期間など)
②販売価格 送料
③支払時期及び支払い方法
④引渡時期
⑤申込期間の定めがある場合
⑥申込みのキャンセルに関する事項

より細かな説明が必須になる

定期購入契約の違反例

最終画面項目記載義務に違反しないと考えられる表示

上記の画像は実際に消費者庁がガイドラインで示している
最終画面での項目記載義務の追加で違反していないとされる見本

6つの項目全てに沿った内容が書かれており
消費者へ不当な表記をしていないためこの形式ならば問題はないとされる。

最終画面項目記載義務に違反すると考えられる表示

いつでも解約可能と強調しているが実際には解約方法手段が
限定されていたり、解約料が発生するにも関わらず
離れた位置に記載や小さく表示することで消費者へ不利益を与えていると判断される例です。

この様な違反は特定商取引法を理解していないと犯してしまいやすいのではないでしょうか。

D2Cはもちろん、カタログやチラシなどを利用したオフライン通販であっても適用の対象となるため注意が必要です。
オフライン通販では申込書類や申込みハガキが最終確認画面となります。

画像引用元:消費者庁 通信販売の申込みにおける表示についてのガイドライン

表示事項を改めて確認しておかないと違反になる可能性も

申込みの取消権付与

前述した最終確認画面の違反する表示によって消費者が
誤認して結果申込みの意思表示をした場合は
消費者は申込みの意思表示を取り消すことが規定されました。
第15条の4

下記に消費者が該当した場合は取消権が付与され
契約を破棄することが可能となったため事業者は
申し入れがあった場合直ちに対応しなければいけません。

不実の表示をする行為

嘘の情報を表示しているにも関わらず
あたかもその表示が事実であると誤認した場合

表示をしない行為

表示されていない条件が存在しないと誤認した場合

申込みに関して誤認されるような表示

申込み送信にも関わらずそれが申込みにならないと誤認させた場合

表示について誤認させるような表示

数量や価格などの表示について誤認した場合

消費者の取消権がより明確に

契約解除の妨害行為は禁止

すべての通信販売において契約申込みの撤回や解除を妨げるため
以下の行為を行った場合は3年以下の懲役又は300万以下の罰金に
処されます。また違反を行ったのが法人の従業員の場合は
所属する法人に対しても1億円以下の罰金が科せられます。

撤廃や解除に関する事項について不実のことを告げる

事実に反して「契約分の残り残高を支払わないと解約ができない」と告げることは妨害行為に該当します。

事情に関する事項にについて不実のことを告げる

事実に反して「今やめてしまうと効果が得られない」と告げる行為も妨害行為に該当します。

解除の申出があった場合は慎重な対応が求められる

ご検討中の企業様へ

D2Cとは切っても切り離せない特定商取引法
改正法案が施行されるまで残り1ヶ月を切りました。

独自のカートシステムなど利用されている企業様は
最終確認画面の表示などが違反に該当していないかなど
早めの確認をしておくことが必須です。

知らないでは済まされない法律に関わる事柄なので
不安な事は専門家である弁護士などに迷わず相談することが
おすすめです。

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